金融政策を勉強したり、日本銀行やFRBについて勉強しているとかなりの頻度で出てくる単語に
「Forward Guidance」(フォワードガイダンス)というのがあるよね。
これまでは、その説明がネット上にもなかなか出回っていなくて気にする人もいなかったけど
最近ではWikipediaにも載っているぐらいになりました。
今回はそのフォワード・ガイダンスを解説します。
Forward Guidanceは, すでに多くの先進国の中央銀行が採用している金融政策の枠組みです。
その定義と目的に対する解釈は各国によって微妙に異なる場合があり
現在 , Forward Guidanceを採用しているとされている中央銀行はFRSを始めECB, BOJ, BOE, FBNZなど十数ヵ国にのぼる。
FRS(アメリカ連邦準備制度), ECB(欧州中央銀行), BOJ(日本銀行), BOE(イギリス中央銀行), FBNZ(ニュージーランド準備銀行)
その中から, Federal Reserve Board (以下, FRB),
European Central Bank (以下, ECB),
日本銀行の3つの中央銀行の解釈を確認してみよう。
FRBはForward Guidanceについて以下のように述べています。
In today's interconnected world, many central banks communicate regularly and fre-quently with the public about the state of the economy, the economic outlook, and the likely future course of monetary policy. Communication about the likely future course of monetary policy is known as “Forward Guidance.”" (今日の相互接続された世界では, 多くの中央銀行が, 経済状況, 経済見通し, 将来の金融政策の可能性について, 定期的かつ頻繁に一般市民とコミュニケーションをとる。 将来の金融政策の方向性についてのコミュニケーションを, 「フォワードガイダンス」として知られている。)"
European Central Bank(ECB)は以下のように述べています。
Since July 2013 the Governing Council of the European Central Bank (ECB) has been providing Forward Guidance on the future path of the ECB’s policy interest rates conditional on the outlook for price stability. "(2013年7月以来, 欧州中央銀行(ECB)理事会は, 物価安定の見通しに基づき, ECBの政策金利の将来の道筋についてのフォワードガイダンスを提供している"
最後に日本銀行以下のように述べている。
“中央銀行が, 市場や国民(家計と企業) に対して, 将来の金融政策スタンスについての情報発信を行うコミュニケーション戦略の一環として位置付けられる”
“強力なコミットメントについて, 少し詳しくお話しします。将来へのコミットメントによって, 人々の予想ないし期待に働きかけるという考え方は, 経済理論では「フォワード・ガイダンス」として整理されています。”
ここから分かることは、
各国表現の違いは有るものの,中央銀行が市場に対して金融政策の意図を伝達することで一般的に2つの狙いが有るということです。
1つ目は,
物価の安定させること。
そして2つ目は,
金融政策の効果を高めること。
特にゼロ金利制約(ZLB)に直面した経済では, 利子率に影響を与えうる手段であるということです。