統計学における大数の法則と少数の法則、行動経済学における少数の法則

統計学と行動経済学を学んでいると、とても基本的だが
ちょっと戸惑うことがある。それは大数の法則と少数の法則である。

少数の法則はどちらの分野にも登場するのだが
その意味するところは全く違う。笑

なので、その違いを簡単に説明したいと思う。

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統計学における「大数の法則」と「小数の法則」

大数の法則(law of large numbers)とは、Wikipediaによる定義としては、

確率論・統計学における極限定理のひとつで、「経験的確率と理論的確率が一致する」 という、素朴な意味での確率を意味付け、定義付ける法則である。

とされている。大数の法則には「強法則」と「弱法則」がある。確率収束するのが強法則であり、概収束するのが弱法則である。「同一の試行を無限回行えば標本平均は母平均に収束する」というのが大数の法則の意味するところである。

少数の法則(law of small numbers)とは、コトバンクによる定義によると、

事故のような現象が一定期間中に起こる回数がポアソン分布に従うことの発見で,これを彼は〈小数の法則〉と名づけた。

とされている。ポワソンにより提唱されたものであるとされ、二項分布のある種の極限がポアソン分布になるといったことを意味する。

行動経済学における「少数の法則」

行動経済学における「少数の法則」は、ダニエル・カーネマンによって1971年に提唱された概念である。
行動経済学も統計を扱うため、しばしば両者を混合してしまう人もいる。
行動経済学における少数の法則は統計学における少数の法則とは少し違う。
1971年、ダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーは論文「Belief in the law of small numbers.」で下記のように述べている。

People have erroneous intuitions about the laws of chance. In particular, they regard a sample randomly drawn from a population as highly representative, that is, similar to the population in all essential characteristics. The prevalence of the belief and its unfortunate consequences for psychological research are illustrated by the responses of professional psychologists to a questionnaire concerning research decisions.

Belief in the law of small numbers.

カーネマンの「少数の法則」は、試行回数が少ないがゆえに偏った結果が出て、その極端な結果に基づいて人間が誤った因果関係を推測しがちなことを説明したもののようである。論文を呼んだ感想としては数学的な概念ではなく、心理学的な概念であると思われる。こういったことから統計学における少数の法則とは異なる。



実は統計学をしっかり学んでいる人ほど
戸惑うらしい笑

でもこうやって見ると簡単だね。
じゃあね〜〜〜。