*留意
このレポート記事は2014年に作成したものです。
記録として残すものです。
2018年現在の筆者の見解等には
必ずしも合致しない場合があります。
要旨
国内の企業は積極的に内部留保を活用するべきである。理由は3つあり、⒈留保は自社の株価を上昇する期待をそぐ⒉手持ちの金を使って新しい資本を増やすことが出来る⒊企業の成長はそこで働く従業員の賃金を上昇させることがしやすくよい人材が集まりやすくなる。ということである。
はじめに
日本銀行が5月19日に公表した資金循環統計によると、企業(民間非金融法人)が保有する現金・預金残高は今年3月末で前年比5.8%増の約225兆円に達した。と発表した。さらに6月23日の日経新聞によると2013年末に日系企業の内部留保が304兆円に達し過去最高を更新した。企業が資本を持ち続けることはM&Aなど買収を行うときなどに必要になるものだが、日系企業のこの持ちたがりは異常と言わざるを得ない。内部留保の拡大はこれから回復して行くべき日本経済にとって害悪以外当てはまる言葉はない。企業は内部留保を投資、自社株買い、株主還元などにもっと積極的活用するべきである。
⒈増え続ける内部留保
まず内部留保とは何だろうか。内部留保とは「企業が経済活動を通して獲得した利益のうち、企業内部へ保留され蓄積された部分のこと。」(Wikipedia)。つまり「企業の純利益から、税金、配当金、役員賞与などの社外流出分を差し引いた残りで、社内留保ともいう。ひらたく言えば企業の儲けの蓄えのこと」(コトバンク)
内部留保は2009年から拡大し続けて2013年末に過去最高を更新することとなった。リーマンショックによる影響で企業が危機管理として利益を溜め込む心理が働いている結果と言える。しかしこの傾向は決して良いと言えるものではない。なぜなら溜め込まれたまま使われない資本が日本であふれてしまう。つまり日銀が紙幣を刷ってもそれが国民の手元まで潤滑に流れていかなくなり経済の活性化を妨げる可能性がある。これでは日本経済の害悪である。
(日本経済新聞より転載)
問題はそれだけではなく内部留保が多い企業は企業価値を低く見られ、株価にも影響を与えるのだ。
⒉企業価値上昇を妨げる内部留保
なぜ内部留保が株価に影響を与えるのだろうか。それは外国人株主が大きな要因である。新聞だけでなく株主総会の議事録などから一般に、外国人株主は、自らのためにできうる限り大きい利益を生み出すことを経営陣に期待するのだ。彼らからすれば利益が増えたのであれば株主のためになる自社株買いや、配当の増額などをしてほしいのだ。日本企業の多くが利益を溜め込み続けるため、彼らは日本企業株の買いしぶりをしてしまうのだ。
人によっては日本企業なのだから外国人株主の影響は薄いはずであると考えるだろう。しかしそんなことはないのだ。東京証券取引所などの2012年度の株式分析状況調査によると3月末時点の外国人の日本株の保有比率(金額ベース)は28.0%と最高になった。明らかに彼らの発言力が強くなってくるのは誰の目から見ても明らかである。そのため企業は内部留保を活用し株主の期待に応えていかなくてならなくなる。
⒊おいしい思いは株主だけではない
内部留保の活用が株主に利益をもたらすだけでなく、その企業で働く従業員にも利益をもたらすのだ。企業が内部留保を活用することで自己株式を所得している従業員は利益を得ることが出来るだろう。さらに雇用を増やす投資の拡大、給与の増額は内部留保の活用方法としていい選択だと言える。安部政権になりやっとベースアップの傾向になってきたが、それまでは企業は資本を蓄え従業員の給料は減っていく一方であったのだ。
給料の高低は従業員や求職者にとって重要なインスパイアであり、高い給料はよりよい人材が集まりやすい。従業員への還元も将来的によりよい人材を集める手段なのである。
⒋早期に動き出した大企業
これまで内部留保を拡大させる企業を批判してきたが、もちろんすべての日本企業に当てはまる訳ではない。特に大企業の多くは内部留保を自社株買い、配当の増額を決定している。例えを挙げると三菱商事は前期配当を4円増額した。トヨタ自動車は6年ぶりに自社株買いを3600億円行った。
しかし一方で、日本銀行によると中小企業の手元流動性比率が2.17%に増えた。これは中小企業が現預金の備えを年々強固にしているということである。これでは株主、従業員もがっかりである。日本経済停滞の大きな一要因である。中小企業こそ大企業をみならい積極的な内部留保の活用をするべきである。
終わりに
以上の⒈留保は自社の株価を上昇する期待をそぐ⒉手持ちの金を使って新しい資本を増やすことが出来る⒊企業の成長はそこで働く従業員の賃金を上昇させることがしやすくよい人材が集まりやすくなる。という3つの理由から国内企業はもっと内部留保を活用するべきである。
参考文献
- http://www.nikkei.com/markets/kabu/marketsnews.aspx?g=DGXNASGD20086_20062013MM8000
- http://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/h24.pdf
- http://www.nikkei.com/article/DGXNZO73155610T20C14A6SHA000/
- 財務省ホームページ
- 日本銀行ホームページ
- 日本銀行「全国企業短期経済観測調査」
- 日本政策金融公庫「中小企業動向」
今考えると。
文章が稚拙な点は置いといて(笑)内部留保を使って賃金上げるべきは今も変わらないね。
企業、特に中小企業にとっては不況時に経験した銀行の冷たい態度が忘れられないのもすごい分かる。
彼らのマインドを変えることが出来るのはそれことXRPのような、安心を与える通貨の普及とかかもしれない。
内部留保は金塊じゃねえんだ!って主張もあるが、どれだけの割合なんだって指摘もある。
あと、未だに日本の株式市場は正しく機能していないなぁ、と感じる。
じゃあね〜〜〜。